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動物カフェの時間と法律 ― 犬・猫は「夜8時」、条件つきで猫は「夜10時」まで
公開 2026年10月21日 · 法令・資料の確認日 2026年10月12日(公布の情報は 2026年10月21日)
基準日: 法令・資料は 2026-10-12 に確認しました(法令は e-Gov 法令API の現行版と改正履歴、資料は環境省のページと PDF)。第7節の「犬・猫以外の哺乳類の新しい基準」は、2026-10-15 の公布を 2026-10-21 に環境省の報道発表で確認して書き換えています。
この記事は法令と国の資料に書かれていることの紹介です。法的な助言ではありません。また、個々の店を評価するものではありません。
動物カフェについて調べていると、「犬や猫は夜8時まで」「猫は夜10時まで」という話を目にすることがあります。これは店ごとの方針だけの話ではなく、動物愛護管理法にもとづく国の基準で、犬と猫を見せたり触れ合わせたりできる時間が決められているためです。この記事では、その決まりと理由、そして2026年10月15日に公布された「犬・猫以外の哺乳類」の新しい基準(2027年6月1日施行)をまとめます。
要点
- 動物カフェは「第一種動物取扱業(展示)」の登録が必要です。法律の「展示」には、動物との触れ合いの機会の提供も含まれます。
- 犬・猫の展示は 午前8時〜午後8時。夜8時〜翌朝8時は、犬・猫を客と触れ合わせてはいけません(次の3の猫を除く)。
- 猫だけは、1歳以上で、休める場所へ自由に移動できる状態なら 夜10時まで(1日の展示は12時間以内)展示できます。この例外は2016年6月から期限のない決まりです。
- 環境省は2012年の通知で、夜の展示を禁じた理由を「睡眠時間の不足、不適切な生活サイクルの強要等による重大なストレス」と説明しています。
- 店の「営業時間」と、犬・猫を「展示する時間」は別のものです。登録の申請書には、営業時間と、夜まで猫を展示する場合はその展示時間を書きます。
- 犬・猫以外(フクロウ・うさぎ・ハリネズミなど)には、今は時間の数値の決まりがありません。犬・猫以外の哺乳類については、原則8時〜22時・夜の触れ合い禁止などを含む新しい基準が 2026年10月15日に公布され、2027年6月1日に施行されます(施行日までは今の基準のまま)。鳥類・爬虫類は、この新しい基準の対象外です。
1. 動物カフェは「展示」の登録が要る
動物愛護管理法10条1項は、哺乳類・鳥類・爬虫類の販売・保管・貸出し・訓練・展示などを業として行う人に、都道府県知事(指定都市では市長)の登録を求めています。ここでいう「展示」には「動物との触れ合いの機会の提供を含む」と、条文にはっきり書かれています。魚類・両生類・昆虫は、この登録の対象外です。
登録を受けた業者は、環境省令で定める基準を守らなければなりません(法21条1項)。展示の時間の決まりは、この基準を定めた省令(令和3年環境省令第7号。以下「基準省令」)にあります。
都道府県と政令指定都市は、必要と認めるときは条例で国の基準に代わる基準を定めることができます(法21条4項)。東京都の条例は、国の基準省令の基準を守るよう求める形で、展示時間を独自に変える規定は見当たりません。大阪市の条例は、この記事では確認していません。
2. 犬・猫の展示は「8時〜20時」
基準省令2条5号イ(1)は、販売業者・貸出業者・展示業者に、犬・猫の展示を「午前八時から午後八時までの間において行うこと」と定めています。
- 「展示」の範囲: 2012年の環境省の通知は、「展示」には店の中で犬・猫を客に見える状態に置くことなども含むと説明しています。
- 夜は触れ合わせない: 基準省令では、午後8時から翌日午前8時までを「夜間」とし(2条3号イ)、夜間に犬・猫を客と接触させたり、譲り渡したりしないことを定めています(2条7号ノ(1))。 2012年の通知は、この決まりを「展示を行わない場合にも、顧客の求めに応じて接触させる等の行為を防ぐためのもの」と説明しています。
- 長い展示には休み: 長時間続けて犬・猫を展示する場合は、犬・猫が休める設備へ自由に移動できる状態にし、それが難しいときは、展示が6時間を超えるごとに展示しない時間を設けます(2条5号イ(2))。 環境省の運用指針は、カーテンで簡単に覆っただけで隙間からのぞける状態や、たまたま客がいない時間は「展示を行わない時間」とはみなせない、としています。
動物を見せたり触れ合わせたりできる時間(基準省令)
3. なぜ夜8時まで?
犬・猫の夜の展示の規制は、2012年6月1日に始まりました。
その前に出された環境省の施行通知(2012年4月17日)は、理由を次のように書いています。
動物の夜間展示により、特に犬及びねこについて、睡眠時間の不足、不適切な生活サイクルの強要等による重大なストレスが生じている状況にあることから、犬及びねこの夜間展示を禁止するものである。
基準省令の条文でも、夜に営業する場合は「犬又は猫の休息が妨げられることがないようにすること」と、休息を守ることが目的として書かれています(2条7号ネ)。
4. 猫だけ夜10時まで ― 「特定成猫」の条件
夜8時から10時まで展示できるのは、次の両方にあてはまる「特定成猫」だけです(特定成猫の定義は施行規則3条2項10号ただし書、展示できる時間は基準省令2条5号イ(1))。
- 生後1年以上であること
- 午後8時から10時までの間に展示される場合は、休息できる設備に自由に移動できる状態で展示されていること
さらに、特定成猫の1日の展示時間(いちばん早い展示開始からいちばん遅い展示終了まで)は 12時間を超えてはいけません(基準省令2条5号イ(1))。 たとえば朝9時から展示を始めると、夜は9時までになります。
- 「休息できる設備」: 環境省の通知と運用指針は、客との接触や視線、照明・音響を避けることができ、十分に休める場所や設備のことだと説明しています。運用指針が挙げる例は「猫カフェに設置される自由に出入りできる休息部屋」です。
- 犬と1歳未満の猫は8時まで: 2012年の通知は、この例外の対象は1歳以上の猫で、犬と生後1年未満の猫は夜の規制の対象のままだと明記しています。
- 時限措置ではない: 1歳以上の猫の例外は、2012年に「2年間」の経過措置として始まり、のちに2016年5月31日までとされた後、2016年6月1日から施行規則の本則に「特定成猫」として入りました。この改正に期限の定めはありません。
5. 「営業時間」と「展示時間」は別
店の営業時間と、犬・猫を展示する時間は、法令の上でも別のものとして扱われています。
- 登録の申請書に両方を書く: 施行規則2条4項7号は、登録の申請書の記載事項として「営業時間(特定成猫の展示を行う場合にあつては、営業時間及び…特定成猫の展示時間)」を定めています。2012年の通知は、営業時間を申請事項に加えた理由を「当該規制の遵守状況を確認するため」と説明しています。
- 夜も営業する店の決まり: 夜間に営業しようとする販売・貸出・展示業者は、犬・猫の飼養施設を他の場所から区切るなどして、夜間に客を立ち入らせない措置をとることが登録の基準です(施行規則3条2項10号)。営業中も、客が犬・猫の飼養施設に立ち入るなどして休息を妨げないようにします(基準省令2条7号ネ)。
Fureai Japan の店ページに載せている営業時間は、店の公式サイトに書かれた店の営業時間です。夜まで営業している店でも、犬・猫と触れ合える時間は別に決まっていることがあります。気になるときは店に確かめてください。
6. 犬・猫以外の動物は?
- 今の基準省令で、展示時間に数値の決まりがあるのは犬・猫だけです。そのほかの動物については「長時間連続して展示を行う場合には…必要に応じてその途中において展示を行わない時間を設けること」という決まりにとどまります(2条5号イ(2))。夜の明るさを抑えるなどの配慮は、「販売業者」が犬・猫以外の動物を夜に展示する場合の決まりです(2条3号イ)。
- どの動物でも、客が触れる場合は、触り方を指導し、動物に適度な休息を与え、客が勝手に食べ物を与えないようにする決まりがあります(2条7号ノ(2)(3))。
7. 犬・猫以外の哺乳類の新しい基準 ― 2026年10月15日公布・2027年6月1日施行
公布された中身
2026年10月15日、環境省は「第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令の一部を改正する省令」を公布しました。犬・猫以外の哺乳類の飼養管理の基準を具体化するもので、施行日は2027年(令和9年)6月1日です。飼養施設に備える設備の規模(ケージの広さなど)は既存の事業者に経過措置があり、2028年(令和10年)6月1日から適用されます(環境省 報道発表 2026-10-15)。
この改正は、2026年7月23日の中央環境審議会動物愛護部会(第66回)で了承された答申案をもとにしています。環境省の概要資料に書かれている、展示と触れ合いに関する主な中身は次のとおりです。
- 哺乳類(犬・猫を除く)の展示は、原則として午前8時から午後10時まで、1日12時間以内
- 長時間展示する場合は、休める設備へ自由に移動できる状態にするか、6時間を超えるごとに展示しない時間を設ける
- 夜間(午後8時〜午前8時)に哺乳類を客と接触させない(動物の健康と安全のために夜に行うのが適当な場合など、特別な事情がある場合を除く)。夜間に客が飼養施設に立ち入って休息を妨げることもしない
- 客が触れる場合は、ごく短い接触を除いて、動物が客との接触を避けられる場所を常に確保する
- 触り方を理解しているかを事前に文書か口頭で確かめ、接触の前後に客の手指を消毒させる
- 幼すぎる動物・接触のストレスが大きい動物・人にうつる病気を持つ動物は客と接触させない
- 不適切な触れ方があったときにすぐ対処できる人数の職員を確保する
- うさぎ・ハムスター・モルモットはケージの広さを数値で決める。飼養施設に温度計・湿度計を備える、日長に合わせて明るさを管理する、健康が悪化したら獣医師の診療を受けさせる、販売のために輸送した後は2日以上様子を見る
概要資料によると、このうち「接触を避けられる場所」「事前の確認と手指の消毒」「接触させない動物」「職員の人数」の4点は、犬・猫にも新たに義務づけられます。
環境省は部会で、「近年、アニマルカフェなども人気が出ている」としたうえで、触れ合い展示施設などで「動物が休息できない状態」や接触事故への対策が足りない不適切な例が課題として指摘されてきたと説明しています(第66回議事録)。
いつから?
- 施行は 2027年6月1日。公布から施行まで約7か月半は、周知と準備のための期間です。施行日までは今の基準のままで、上の中身はまだ守る義務のある基準ではありません。
- 2026年10月17日の時点では、e-Gov 法令API の基準省令の改正履歴にこの改正はまだ載っていません(最新は2023年3月24日の改正)。公布の事実は環境省の報道発表で確認しています。施行後に条文の番号を入れてこの記事を書き換えます。
対象にならない動物
- 鳥類(フクロウなど)と爬虫類は、この改正の対象外です。
- 爬虫類については、環境省の検討会の下に「爬虫類飼養管理ワーキンググループ」が置かれて検討が続いており、第5回が2026年10月14日に開かれました(2026年10月8日の報道発表)。
8. 利用する人へ
- 夜8時から翌朝8時までは、店が犬・猫を客と触れ合わせることは基準で禁じられています(1歳以上の猫の夜10時までの展示を除く)。
- 夜8時〜10時に展示できるのは、1歳以上で、休める場所へ自由に移動できる状態の猫だけです。
- フクロウ・うさぎ・ハリネズミなど犬・猫以外の動物には、今のところ展示時間の数値の決まりはありません。犬・猫以外の哺乳類には 2027年6月1日から新しい基準(原則8時〜22時・夜の触れ合い禁止など)が適用されます。それまでは今の基準のままです。
出典(2026-10-12 に本文を確認。都条例は 2026-10-05、2026-10-15 の公布に関する2点は 2026-10-21 の確認)
法令(e-Gov 法令API v2 で現行版を取得)
- 動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号・2026-06-05 施行版)https://laws.e-gov.go.jp/law/348AC1000000105 ― 10条1項、21条1項・4項
- 同 施行規則(平成18年環境省令第1号・2025-09-01 施行版)https://laws.e-gov.go.jp/law/418M60001000001 ― 2条4項7号、3条2項10号
- 第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令(令和3年環境省令第7号・2023-03-24 改正版)https://laws.e-gov.go.jp/law/503M60001000007 ― 2条3号イ、5号イ(1)(2)、7号ネ・ノ
- 基準省令の改正履歴(e-Gov 法令API)https://laws.e-gov.go.jp/api/2/law_revisions/503M60001000007 ― 2026-10-12 取得時点で5件、最新は令和5年環境省令第3号(2023-03-24 施行)。未施行の改正なし
環境省
- 通知「動物の愛護及び管理に関する法律施行令の一部を改正する政令等の施行について」(平成24年4月17日 環自総発第120417001号)https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/files/n_09.pdf ― 夜間展示を禁じた理由、「展示」の範囲、営業時間を申請事項に加えた理由
- 通知(平成24年5月21日 環自総発第120521001号・成猫の経過措置)https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/files/n_10.pdf
- 報道発表「動物の愛護及び管理に関する法律施行規則の一部を改正する省令等の公布…」(2016-05-17)https://www.env.go.jp/press/102542.html
- 「動物取扱業における犬猫の飼養管理基準の解釈と運用指針」(令和3年5月)https://www.env.go.jp/content/900517594.pdf ― 休息できる設備・展示を行わない時間(PDF 40ページ)
- 中央環境審議会動物愛護部会(第66回・2026-07-23)議事及び配布資料 https://www.env.go.jp/council/14animal/66_1_00001.html /資料2-1 答申案の概要 https://www.env.go.jp/council/content/i_10/000418179.pdf /議事録 https://www.env.go.jp/council/14animal/66_2_00001.html
- 動物の愛護と適切な管理(新着)https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/
- 報道発表「爬虫類飼養管理ワーキンググループ(第5回)の開催について」(2026-10-08)https://www.env.go.jp/press/press_05663.html
- 報道発表「第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令の一部を改正する省令の公布について」(2026-10-15)https://www.env.go.jp/press/109435_00001.html
- 同 改正の概要(PDF)https://www.env.go.jp/content/000435326.pdf
東京都
- 東京都動物の愛護及び管理に関する条例(令和6年10月11日改正まで反映の PDF)https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/hokeniryo/tojourei-r6
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